By IMN-
Abstract
本稿は、栄養素センシングの要であるmTOR/AMPK経路の分子機構と、その破綻が関わる加齢関連疾患への影響を整理した総説である。mTORC1はアミノ酸・成長因子・エネルギー情報を統合し同化を促進し、AMPKはエネルギー枯渇を感知し異化・オートファジーを駆動する。この拮抗バランスの乱れは、がん、2型糖尿病、神経変性、慢性炎症の基盤となり得る。栄養素は「シグナル(アミノ酸、糖質、ポリフェノール)」と「補因子(ビタミン、ミネラル)」の両面からこれらの経路に作用する。実践的には、十分なタンパク質摂取を前提とし、mTORの慢性過活性化を避けるため、1日8~12時間の摂食窓と夜間12時間以上の絶食が推奨される。また、補因子の恒常的充足も重要だ。総じて、ON(同化)/OFF(異化)サイクルを意図的に設計する「時間×質」栄養戦略が、代謝恒常性と健康維持の鍵となる。